ミトコンドリアDNAの“動き”の制御で ミトコンドリアの機能を向上
哺乳動物細胞の生細胞観察を行い、ミトコンドリアDNAの“動き”に注目した研究を行うことで、新しいミトコンドリア機能の制御機構を見い出しました。
<研究成果のポイント>
ミトコンドリアが酸素呼吸によりエネルギー生産を行うためには、その内部にあるミトコンドリアDNAが適切に機能する必要があります。これまでミトコンドリアDNAが生細胞内で動くことは知られていましたが、そのメカニズムはほとんど解析されていませんでした。
今回、哺乳動物細胞内のミトコンドリアDNAの動きを解析したところ、ミトコンドリアDNAがミトコンドリア内部で動く過程に内膜のタンパク質ATAD3Aが働くことを見出しました(モデル図1)。
この知見を用いてミトコンドリアDNAの配置を変動させたところ、ミトコンドリアDNAが適切に配置されることで、エネルギー生産に必須な酵素群が効率よく機能できることがわかりました(モデル図2)。
ミトコンドリアDNAの動きを変化させる技術開発によって、今後ミトコンドリアの機能を活性化できるようになる可能性が考えられます。
本研究成果は米国科学誌「米国科学アカデミー紀要 (Proceedings of the National Academy of Science of the United States of America, PNAS)」に掲載されました。
“Mitochondrial nucleoid trafficking regulated by the inner-membrane AAA-ATPase ATAD3A modulates respiratory complex formation”
Takaya Ishihara#, Reiko Ban-Ishihara#, Azusa Ota, Naotada Ishihara. (#equally contributed)
より詳しい解説付きの説明を、大学HP (RisOU) に掲載していますのでご覧ください。
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