Pharmacological Research誌に研究成果を報告しました
花田有希さん(現、立教大学 助教)を中心とした研究成果がPharmacological Research誌に掲載されました。
Y. Hanada, R. Maeda, T. Ishihara, M. Nakahashi, Y. Matsushima, E. Ogasawara, T. Oka, N. Ishihara.
Alternative splicing of Mff regulates AMPK-mediated phosphorylation, mitochondrial fission and antiviral response.
Pharmacological Research. 209: 107414 (2024) PMID: 39293584, DOI: 10.1016/j.phrs.2024.107414
「選択的スプライシングによるミトコンドリア分裂因子Mffの機能調節」
細胞内で活発に形を変えるミトコンドリアは、細胞内エネルギー通貨であるATPの産生を担うほかにも、様々な細胞内シグナル伝達において重要な役割を果たしています。また、感染したRNAウイルスを検知するシステム(MAVSタンパク質)がミトコンドリアに存在しており、ミトコンドリアはATP産生による代謝と自然免疫応答をつなぐ役割を果たすと考えられています。
今回、ミトコンドリアの分裂と抗ウイルス自然免疫応答の制御に関わるミトコンドリア外膜タンパク質Mitochondrial fission factor(Mff)について、選択的なmRNAスプライシングに着目して解析を行いました。
マウス個体でMffは組織ごとに固有のアイソフォーム構成パターンを示しました。またマウス由来の線維芽細胞(MEF)に発現する主要な3つのMffアイソフォームをMff遺伝子欠損MEFに発現させて解析を行ったところ、エキソンの挿入によりミトコンドリア分裂と自然免疫応答の両方が抑制されることがわかりました。また、このエキソンの挿入によってAMP-activated protein kinase(AMPK)によるMffのリン酸化が起こりにくくなることもわかっており、選択的スプライシングはMffのリン酸化修飾、ミトコンドリア分裂、自然免疫応答の制御のすべてに関わることがわかりました。
本研究成果は「Pharmacological Research」に公開されました。
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