久留米大学 分子生命科学研究所 高分子化学研究部門

ミトコンドリアのダイナミクス

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教授

久留米大学 分子生命科学研究所 高分子化学研究部門 教授  石原 直忠 博士(理学)

研究テーマ 哺乳動物細胞のオルガネラ膜のダイナミクス、
特に、ミトコンドリアの形態制御の分子機構と生理機能の解析
学歴 1993年 九州大学 理学部生物学科 卒業
1995年 九州大学大学院 理学研究科修士課程 修了
1998年 九州大学大学院 医学系研究科博士課程 修了、博士(理学)取得
職歴 1998年 岡崎国立共同研究機構 基礎生物学研究所 非常勤研究員
2000年 九州大学大学院 医学研究院 助手
2007年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 助手・助教・講師
2010年より 久留米大学 分子生命科学研究所 教授 
受賞歴 2009年日本生化学会奨励賞
2010年文部科学大臣表彰若手科学者賞

(生化学会HP(2009年)より)
 私が九大三原研で大学院生としてミトコンドリアの研究を始めてから15年以上になる。博士研究としてミトコンドリアの生化学研究手法を学んだ後に、岡崎 の基礎生物学研究所の大隅良典先生の研究室にポスドクとして参加させていただき、膜の生合成、ダイナミクスに強く興味を持つようになった。ちょうどその当 時、大隅先生の研究蓄積を元にしてオートファジーの分子基盤の理解が飛躍的に進展していく時期であり、新しい研究領域が形成されていく過程を身近に経験で きたのは私にとって幸せなことだった。大隅先生のされたように、「新しいこと、誰もいないところで面白いことを自ら開拓する」ことを自分でも実践したいと 考えていた。そこで九大で新しくミトコンドリア研究を始めるにあたり、まだ哺乳動物では未開拓であったミトコンドリアの融合と分裂のダイナミクスに注目し て研究を開始した。同時に、三原先生の「生化学的手法で、新規因子を同定することこそ真のブレイクスルーになる」との言葉を信じて研究を進めてきた(が、 未だ期待通りの展開を果たせておらず、残念に思っている)。当時、酵母でいくつかの遺伝子が単離・解析されていたことを手がかりにして、哺乳動物での解析 系を構築し、関連因子を同定し解析を行い、自分達の手でほぼすべての研究を立ち上げていった。ありがたいことに、先の見えない立ち上げ研究であるにもかか わらず、多くの優秀な学生が参加してくれた。それらの研究成果は現在のミトコンドリア研究に重大な貢献をしてきたと自負している。今回、日本生化学会奨励 賞を戴く栄誉を受けたが、これは多くの共同研究者を代表して戴いたものだと考えている。今回の受賞を契機に本研究をさらに飛躍的に展開・発展させていくこ とが私に課せられた使命であると考えている。
 ミトコンドリアの研究分野が最近本当に面白くなってきた。ミトコンドリアはその重要性から古くから多くの研 究が行われているが、一方ミトコンドリア自身の形成、特に哺乳動物のミトコンドリアについての分子理解は長らく残されたままであった。今回の受賞対象であ るミトコンドリアの融合と分裂の膜ダイナミクスは、ミトコンドリア自身の特性を変えてしまう反応である。分裂には小さく独立したミトコンドリアの数を増や し、逆に融合により細胞内のミトコンドリアがほぼ1つに繋がっていく。この融合・分裂のバランスが変化することにより、ミトコンドリアが関与する多くの生 命現象に影響を与える可能性が考えられるようになった。面白くて役に立つ、不思議なミトコンドリアの世界を、今後もじっくりと眺め続けて楽しんでゆきたい と考えている。

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