久留米大学 分子生命科学研究所 高分子化学研究部門

ミトコンドリアのダイナミクス

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一般向け研究紹介

ミトコンドリアの形とそのダイナミクス

オルガネラ膜のダイナミクス

私たちの細胞の中身はいつもきれいに「整理・整頓」されていて、そのため多くの複雑な反応を同時に処理できるようになっています。細胞内は膜で区画化されていて、これらは「細胞内小器官(オルガネラ)」と呼ばれています(図1)。私達はこの細胞内小器官の膜構造が変化するメカニズムに興味を持って研究を行っています。

オルガネラの模式図

図1 オルガネラの模式図

真核細胞内の細胞内小器官(オルガネラ)を図示している。ミトコンドリアは、小胞輸送でつながれた分泌・エンドサイトシス経路(下)とは独立して形成・維持されている。

ミトコンドリアとは

ミトコンドリアは酸素呼吸を行なうことにより細胞内のエネルギーのほとんどを作り出す細胞内小器官です。さらにミトコンドリアはアポトーシス(細胞死)でも中心的な働きをしており、細胞の生と死の両面の制御に重要な役割を持っています。ミトコンドリアの起源は共生した細菌だったと考えられており、その名残としてミトコンドリアは細胞とは別に自身の遺伝子(DNA)を持っています。しかし現在ではミトコンドリアは宿主の細胞のコントロールの元に増殖しています。
ミトコンドリアは細長い2重膜構造のオルガネラです。生きた細胞の中では、ミトコンドリアは融合と分裂を頻繁に繰り返しながらその形態をダイナミックに変化させています。

ミトコンドリアの融合と分裂

図2 ミトコンドリアの融合と分裂
ミトコンドリアは分裂して小さくなり(左)、融合して細長いネットワークを形成します(右)。
生細胞内で融合と分裂は頻繁に観察され、また細胞の分化・応答時にはこのバランスが変化します。

ミトコンドリアのダイナミクス

これまで、私達の体の中のミトコンドリアがどのように動き、増殖し、形を変えているのかほとんど観察されてきませんでした。最近の研究からミトコンドリアの膜構造形成に関与する遺伝子が同定され、このミトコンドリアの形態変化によってアポトーシスが制御されること、ミトコンドリア形態形成遺伝子の変異が神経変性疾患の原因となることがわかってきました。今後、ミトコンドリアの分裂や融合反応は、ミトコンドリアが関与する多くの疾患・病態の新たな治療ターゲットとなる可能性が考えられます。

現在私達は、ミトコンドリアの分裂と融合が
 (1)どのように制御されているのか(分子メカニズム)
 (2)どのような機能を持っているのか(生理的機能)
を明らかにする目的で基礎的な研究を行っています。
ミトコンドリアの融合と分裂のモデル

図3 ミトコンドリアの融合と分裂のモデル
ミトコンドリアが融合・分裂するには複数のGTPase(GTP加水分解酵素)群が必要であることがわかっています。

これから明らかにしていきたいこと

☆融合・分裂反応の分子メカニズムの詳細を理解したい☆

これまでに融合・分裂に関与するGTPase群が同定されてきていますが、その機能の詳細はほとんど理解されていません。私達は新規因子の同定及び解析を進めており、細胞生物学的手法に加えて、単離ミトコンドリア・精製蛋白質を用いた生化学的手法を駆使して、ミトコンドリア膜構造制御の分子基盤を明らかにすることを目指しています。

☆ミトコンドリアはなぜ変化するのか、その生理的意義を理解したい☆

ミトコンドリアは細胞応答・組織分化時にダイナミックに形態を変化させます。ヒト遺伝病、遺伝子欠損マウスの解析から、これらの因子が究めて重要であることがわかりつつあります。しかしなぜミトコンドリアは融合・分裂するのか、その生理的意義はほとんど理解されていません。私達は、細胞培養およびマウス分子遺伝学的手法を用いてミトコンドリアダイナミクスの生理機能の解析を進めています。分子機構解析から得られた情報を応用して、個体でのミトコンドリアダイナミクスの詳細理解を目指しています。

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